2021.09.17

メッシとも比べられたリーガの「天才」は、神戸で復活することができるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by L'EQUIPE/AFLO

 9月5日、広島。ヴィッセル神戸に入団したボージャン・クルキッチ(31歳)がJリーグデビューを飾っている。後半29分、アンドレス・イニエスタと交代で登場した。

 リーガ・エスパニョーラで「天才」の名をほしいままにし、リオネル・メッシとも比較された男が、流転の末に日本でプレーするのは運命なのか――。ボージャンが日本で輝く条件とは?

 2007-08シーズン、ボージャンは17歳の時にバルセロナでトップデビューを果たしている。リオネル・メッシをもデビューさせたフランク・ライカールト監督に抜擢され、伸び伸びとプレーし、なんと10得点を記録。これは同じシーズンのメッシと同じ得点数で、チームは不振だったものの、唯一の光明となった。

 ボージャンは、生粋のゴールゲッターである。

 9歳からの7シーズン、バルサの下部組織に在籍し、960得点という歴史的な得点数を誇っている。2005-06シーズンはバルサのカデテ(15歳のカテゴリー)で、26試合出場32得点を記録。2006-07シーズンはフベニルといわれるユースチームを飛び越え、セカンドチームであるバルサBで10得点した。その才能を買われ、16歳でトップチームの練習に参加するほどだった。

2011年まで所属したバルセロナでは104試合出場、26得点だったボージャン・クルキッチ(ヴィッセル神戸)2011年まで所属したバルセロナでは104試合出場、26得点だったボージャン・クルキッチ(ヴィッセル神戸) この記事に関連する写真を見る  エリア内に入った時のボージャンのプレーは神がかっていた。ほとんどの選手がゴールに近づくにつれ、さまざまなストレスから技術が落ちるものだ。ところが、彼は一線を画す。GKとの間合いを最後の最後まで見極め、あるいは動かないGKを動かし、巧妙にコースを開け、左右上下、どこでもシュートを狙えた。

 もうひとつ特筆すべきは、"足を振れる"という点だろう。マーカーがいても、鋭く足を振れる選手は、実は多くはない。強いインパクトからボールを飛ばし、ブロックされながらもゴールに吸い込まれるケースが当時は多かった。

 性格的にも剛胆で、真性のストライカーだ。

 デビューシーズンのオサスナ戦だった。エリア内へドリブルで持ち込むと、飛び出してきたGKに対し、ヒールリフトでボールを浮かし、かわしきった。これにはチームメイトのロナウジーニョも驚嘆。結局、空になったゴールへのシュートは相手ディフェンスにブロックされたが、漫画のようなプレーをする17歳だった。