2021.09.18

浦和レッズが見つけた第三の道。守備からスペイン色に染まり始めた

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 ニッパツ三ツ沢球技場で行なわれた第28節の横浜FC対浦和レッズ戦。浦和は敵地で0-2と完勝だった。

「MADUREZ」(スペイン語で成熟)

 浦和のスペイン人指揮官リカルド・ロドリゲスは、その単語を繰り返し使っている。パズルのピースがはまってきた感覚か。おぼろげながら輪郭が見えてきた。それは自信や勢いを与えるものだ。

「(ルヴァンカップ準々決勝)川崎(フロンターレ)戦(引き分けだったがアウェーゴールで準決勝に進出)から、前の選手の距離感がよくなって、それがプレーに出ていると思います」

 FC横浜戦で、浦和の左アタッカーに入ってヘディングで決勝点を叩き込んだ汰木康也は、そう振り返っている。

「外だけでなく、中でのプレーもうまくいくようになって、相手が警戒するところでも、味方が近くにいるから、ドリブルも生きてくるというか......。ヘディングでのゴールも、その流れで新しくプレーの幅が広がってきていた。練習ではなかなかまともに当たらず、入らなかったんですが」

 ポジション的優位を突き詰め、ボールと人の動きをオートマティックにする鍛錬を重ねてきた。その結果、選手は持ち味を出すだけでなく、プレーの幅も広げつつある。それこそ、チーム力の向上だ。

 これは、ミゲル・アンヘル・ロティーナがセレッソ大阪でもたらした効果に近い。まずはポジションや役割を明確化することで、プレッシングもビルドアップも整備。確信を持った選手が成長を遂げる。

 それはスペイン的と言えなくもないだろう。リカルド・ロドリゲス監督の1年目。浦和はいよいよスペイン色に染まるのか?

加入以来、圧巻のプレーを見せている酒井宏樹(浦和レッズ)加入以来、圧巻のプレーを見せている酒井宏樹(浦和レッズ) この記事に関連する写真を見る  かつて浦和は圧倒的な「個」のパワー、高さ、スキルで時代を席巻した。ワシントン、田中マルクス闘莉王、ポンテ、山田暢久、長谷部誠などの力で2006年にはJリーグを制覇し、2007年にはアジア王者にもなった。戦力差で相手を踏み潰すような戦いだ。

 しかし、その後は結果が出なかった。
 
 そこで、2012年からは、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の「攻撃戦術」を選手に落とし込む戦いに切り替えた。