浦和レッズが見つけた第三の道。守備からスペイン色に染まり始めた
ニッパツ三ツ沢球技場で行なわれた第28節の横浜FC対浦和レッズ戦。浦和は敵地で0-2と完勝だった。
「MADUREZ」(スペイン語で成熟)
浦和のスペイン人指揮官リカルド・ロドリゲスは、その単語を繰り返し使っている。パズルのピースがはまってきた感覚か。おぼろげながら輪郭が見えてきた。それは自信や勢いを与えるものだ。
「(ルヴァンカップ準々決勝)川崎(フロンターレ)戦(引き分けだったがアウェーゴールで準決勝に進出)から、前の選手の距離感がよくなって、それがプレーに出ていると思います」
FC横浜戦で、浦和の左アタッカーに入ってヘディングで決勝点を叩き込んだ汰木康也は、そう振り返っている。
「外だけでなく、中でのプレーもうまくいくようになって、相手が警戒するところでも、味方が近くにいるから、ドリブルも生きてくるというか......。ヘディングでのゴールも、その流れで新しくプレーの幅が広がってきていた。練習ではなかなかまともに当たらず、入らなかったんですが」
ポジション的優位を突き詰め、ボールと人の動きをオートマティックにする鍛錬を重ねてきた。その結果、選手は持ち味を出すだけでなく、プレーの幅も広げつつある。それこそ、チーム力の向上だ。
これは、ミゲル・アンヘル・ロティーナがセレッソ大阪でもたらした効果に近い。まずはポジションや役割を明確化することで、プレッシングもビルドアップも整備。確信を持った選手が成長を遂げる。
それはスペイン的と言えなくもないだろう。リカルド・ロドリゲス監督の1年目。浦和はいよいよスペイン色に染まるのか?
加入以来、圧巻のプレーを見せている酒井宏樹(浦和レッズ)この記事に関連する写真を見る かつて浦和は圧倒的な「個」のパワー、高さ、スキルで時代を席巻した。ワシントン、田中マルクス闘莉王、ポンテ、山田暢久、長谷部誠などの力で2006年にはJリーグを制覇し、2007年にはアジア王者にもなった。戦力差で相手を踏み潰すような戦いだ。
しかし、その後は結果が出なかった。
そこで、2012年からは、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の「攻撃戦術」を選手に落とし込む戦いに切り替えた。
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