羽生直剛の心にグサッと刺さったオシムの言葉「少しでも受け継ぎたい」 (6ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi

 羽生は自身の会社を「AMBITION22」と名付けた。22番は羽生がプロ入りから2017年にジェフで引退するまで、すべてのクラブで背負った番号。AMBITION――野心はオシムに言われ続けた言葉である。

「あの人の考え方を少しでも受け継ぎたいと思っているので、そう付けました。名刺にもオシムさんの直筆の文字をデザインに入れているんです。ただ、『Ambition』と書いてほしいと伝えたのに『Ambicija』ってセルビア語のスペルしか書いてくれなかったんですけど(笑)」

 あの日のサラエボでもオシムに、おぼろげながら自身が思い描いているビジョンを伝えると、オシムは「そうか、頑張れ」と言ったあと、こんな言葉を残した。

「もっと上を見ろ。空は果てしない」

 羽生はその強いメッセージを胸に刻み、野心を持って、夢に向かってチャレンジしていこうと思っている。

 自分を育ててくれたクラブや人々、サッカー界に恩返しをするために。スポーツの持つ価値を生かして、地域の人々がより豊かな生活を送れるように――。

■羽生直剛(はにゅう・なおたけ)
1979年12月22日生まれ。千葉県出身。2002年に筑波大学からジェフに加入し、オシム監督に重用されてレギュラーに定着。2006年に日本代表に初招集され、2008年までに国際Aマッチ17試合に出場した。その後、FC東京、甲府でプレーしたのち、2017年にジェフに復帰。翌年に引退し、FC東京の強化部スカウトを経て、現在は自身が立ち上げた会社「AMBITION22」の代表を務める。

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