2021.01.08

「大激震のヴェルディ」で、なぜ永井秀樹は監督続投を決めたのか?

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • photo by Getty Images

永井秀樹 ヴェルディ再建への道

トップチーム監督編(18)

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 新型コロナウイルス感染拡大に揺れ、過密日程になった2020シーズンのJリーグもどうにか終了。来年2月の最終週には2021シーズンも始まるなど、各クラブとも慌ただしく準備に入ることになりそうだが、東京ヴェルディは経営陣が一新され、今後はゼビオホールディングス株式会社が筆頭株主として経営の舵取りをする。そんな中、永井は引き続きヴェルディの監督として指揮を執ることになった。

12月20日の最終節の試合後に挨拶を行なった永井秀樹監督「(続投要請を受けた理由は)『誰もが感動するようなサッカーを完成させたい』という自らの理想の追求と『愛するヴェルディというクラブを再建したい』という思い。でも何よりも『自分を信じてひたむきに取り組んできてくれた選手たちの気持ちに報いたい』という気持ちが一番大きかった。

 ありがたいことに、試合に出場しているかどうかは関係なく、選手は『自分達のサッカーの価値を証明したい』と信頼してついてきてくれた。選手はシンプルに『自分を試合で使ってくれるのがいい監督で、そうでない監督は嫌な監督』と考えがちだけど、そうではなかった。それは指導者の自分にとっては一番の誇りだし、選手の気持ちを裏切ることはできない。どれだけ厳しい状況に置かれたとしても、信じてついてきてくれる選手がいる限りは、自分から『辞めます』とは絶対に言えない、と考えていた」

 大型補強は望めないなか、(2020シーズン、ヴェルディの選手人件費はJ2全体で中位)永井は就任以来、より組織全体で戦うスタイルにこだわり、同時に若手を育てるために、失敗を恐れず挑戦できる環境づくりに注力してきた。生え抜き選手がたとえ海外や他クラブに移籍しても、新しい選手をユースから昇格させてトップで活躍できるような循環が、ヴェルディ再建の基礎固めになると考えるからだ。

 今シーズンはユース監督時代の教え子の5人がトップチームに昇格(石浦大雅/松橋優安/馬場晴也/藤田譲瑠チマ/阿野真拓)して活躍したが、来シーズンも現ユース所属の佐古真礼がトップ昇格に内定している。そうしたスタンス、若い選手たちの活躍が評価されて、ヴェルディは『2020シーズンJリーグ最優秀育成クラブ賞』を受賞。「新しいヴェルディの伝統を作る」というユース監督時代からの地道な取り組みは、少しずつ形になりつつあるように思えた。