似た者同士の矢板中央と青森山田。自慢の空中戦を制すのはどっちだ?
近年の全国高校サッカー選手権は、「打倒・青森山田」がひとつの見どころになっていると言っていい。
要するに、どこが青森山田を止めるのか。言い換えれば、青森山田はそれほどに強く、毎年のように優勝候補と見なされている。
実際、一昨年度は全国制覇。昨年度も連覇こそ逃したものの、2年連続で決勝進出を果たし、準優勝している。
今大会も例外ではない。今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、夏のインターハイやプレミアリーグが開催中止となり、事前の判断材料は乏しかったはずだ。にもかかわらず、青森山田を優勝候補筆頭に推す声は多く、順当にベスト4まで勝ち上がってきた。
しかも、初戦(2回戦)からの3試合で大量10ゴールを叩き出す圧倒的な攻撃力を披露。そのうちセットプレーから6ゴールと、自慢の"飛び道具"が抜群の威力を発揮している。
とりわけ有効なのが、5ゴールにつながっているロングスローだ。昨年度のチームから"投手"を担当しているDF内田陽介が、「昨年から飛距離は変わらないが、質やスピードは上がった」という精度の高いボールを供給し、チーム総得点の半分を生み出している。
ゴール前では身長182cmのDF藤原優大、同186cmのDFタビナス・ポール・ビスマルクのツインタワーをターゲットにしつつも、それを囮にFW名須川真光やDF秋元琉星が飛び込んでくるから、相手にとっては厄介だ。
その高さと強さは、まさに超高校級。ラグビーに例えるなら、ラインアウトからでもボールをキープし、そのままモールでトライを奪ってしまうような力技だ。どうにか流れのなかからの得点を防いでも、スローインを与えただけで失点に直結してしまうのだから、相手チームはたまったものではない。
もちろん、セットプレーだけを警戒すればいいわけではない。
ポゼッションにこだわらず、縦方向へ速くボールを進めていく攻撃は、悪い形でボールを失ってカウンターを食らうリスクを減らすばかりでなく、スピードやテクニックに優れた個々の能力をシンプルに生かすことにもつながっている。
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