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家長昭博にとって中村憲剛は「永遠に勝てないライバルだった」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 家長も「憲剛さんも含め、みんなに気を遣ってもらったと思います。馴染むじゃないですけど、自分がフロンターレの一員になれるようにサポートしてもらった」と回顧する。

 もちろん、そこには自らの努力もあっただろう。その後、川崎で個性を発揮するようになった家長は、中村と"共演"してきた日々を言葉にしてくれた。

「シンプルに言って、一緒にプレーすると楽だったんですよね」

 普段はそれほど会話をする機会はないというが、いつしかピッチではふたりだけの世界観が広がるようになった。家長がつづける。

「無駄なことをしなくても、お互いにやれてしまうというか。僕にとっては本当に助かるし、ありがたかったんです。どちらかというと、僕のプレーって無駄が多いと思うんですよね(笑)。楽しみたい気持ちが強いので。

 憲剛さんには、いつもそこに付き合ってもらっている感覚がありました。自分がイメージしていることを憲剛さんも考えてくれていたり、自分が考えもしなかったことを憲剛さんはやってくれたりする。だから、何て言えばいいんですかね。楽しいんですよ」

 そんな中村というプレーヤーを、家長はこう表現する。

「憲剛さんは、大人っぽいところが半分と、子どもっぽいところも半分あると思うんです。そのバランスが絶妙な人だなという感想を、僕は持っているんです」

 前のめりになり、まずは大人だと感じている部分を聞いた。

「大人だと思うところは、やっぱり、しっかりと周りが見えているところですね。自分が何を求められているのかを察して、その時、その時で適切な立ち居振る舞いができる。それは理論的なプレーもそうですし、人間としてもです」

 そして、子どもと表現したところに、家長はもっとも刺激を受けていた。

「子どもというか、若々しいと思うのは、ベテランなのにプレーが凝り固まっていないところ。自分自身がいちばんサッカーを楽しんでいる。あれだけのキャリアがあるのに、自分が、自分がという部分をいまだに持ち合わせている。キャリアを重ね、経験を積んでくると、失われていくような情熱を、憲剛さんはずっと持ちつづけていた。

 もっとうまくなりたい。もっと点を取りたい。もっと目立ちたい。その姿勢に刺激を受けたんです。大人なところと、子どもなところの両方を持ちつづけているのが、憲剛さんの素敵なところだと僕は思います」

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