強さと美しさを備えたヴェルディが完勝。名門復活への足音が聞こえた (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 もちろん、わずか1勝で喜んでばかりはいられない。まだまだ課題は残っている。

 前節までの4試合、わずか2得点しか挙げられなかった一方で、失点は6。ボール保持率の高さがゴールに直結しないのはともかく、これだけ失点が多くては、勝ち点3どころか、1さえも遠のいてしまう。

 この試合にしても、せっかく先制しながら、一度は同点に追いつかれるなど、計2失点。敵陣で速い攻守の切り替えを繰り返しているうちはいいが、ひとたび自陣でリトリートすると、プレー強度が落ちてしまうのは気になった。相手に少ない攻撃機会を生かされてしまう理由のひとつだろう。

 それでも、ひとまず今季初の勝ち点3である。できるだけボール保持率を高め、攻撃姿勢を貫こうとするチームにとって、質量ともに納得の4ゴールで手にした勝利は、単なる1勝以上の価値を持つはずだ。井上が語る。

「(ゴールは)誰が決めてもいい。チーム全員がゴール前での崩しの部分が足りないのはわかっていた。その部分でやってきたことが成果として出た。これをいいきっかけにできればいい」

 今季5戦目にして、ようやく手にした初勝利。だが、そんな産みの苦しみを味わっていたとは思えないほどに、それは強さと美しさを兼ね備えていた。

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