VAR導入で今季Jリーグに起こること。デメリットをプラスにできるか (4ページ目)
一方、この説明会で一番盛り上がったのは、レフェリーとVAR室にいるスタッフとの交信の中身が、音声として紹介された時だった。詰めかけたメディア関係者の多くは、その慌ただしいやりとりを耳にして、衝撃を受けることになった。映像を眺めながら、多少乱暴な短い言葉で、「ああでもない、こうでもない」とやりあう会話が、実に興味深いのだ。
テレビの警察や救急医療の現場に密着する番組にも通じる切迫感、緊張感に溢れていて、最前線で特別な任務に奮闘する人たちの言葉にならない言葉を聞かされている印象なのだ。複数カメラの映像をよくよくチェックすると、主審が最初に下したジャッジの方が正しい場合もあったりする。こちらが退屈しているその1?2分の間に、VARの現場では、こんな濃密な空気が流れているのかと、そのギャップにも驚かされることになった。
映像と一緒に音声まで流せば、決定に至った背景はより鮮明になる。エンタメ性にも溢れていると感じたのだが、審判委員長の小川佳実氏は「家庭でかわされている夫婦の会話を公表するようで......」。「放送できない汚い言葉が出たりすると困るので......」。「スタッフにプレッシャーを掛けることになるので......」と消極的だった。
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