14年前の野洲高V経験者が目指す
「セクシーフットボールの復権」 (4ページ目)
親戚の会社で働くことにした。職種は営業。だが、サッカー一筋で生きてきた青木である。会社員としてのイロハも知らなければ、どうやって営業で売り込んでいいかもわからない。そこで頼りにしたのが、同じく営業として働いていた、野洲高時代のキャプテンだった。
現在は野洲高のコーチを務める、全国優勝時のキャプテン金本竜市(写真左)と青木孝太(同右) photo by Sportiva「どうやって営業をすれば契約がとれるのかがわからなくて、ニッチョ(注・金本のあだ名)に電話したんです。そうしたら、終電で僕の家まで来て、夜中までいろいろ教えてくれて」
当時、金本は京都に住んでいた。仕事帰りに青木の住んでいる大阪に来て、お客さんとセールスマンのやり取りを練習するなど、親身になって相談に乗ってくれたという。
「練習のおかげで、次の日に契約がとれたんです。すぐにニッチョに電話しましたね。『契約とれたで。ありがとう』って」
その後、青木は滋賀に戻り、家業を手伝う形で働いている。今後はサッカー界に戻り、金本が立ち上げる予定のクラブチームを手伝う構想もあるという。
「現役時代に指導者のC級ライセンスを取りに行ったりと、指導に興味はありました。一度サッカー以外の世界を見てみようと、サッカーから離れたのですが、ニッチョがクラブを作ると言っているので、僕の経験を子どもたちに伝えられたらなと思っています。野洲時代の優勝に負けない栄光を、これからの人生でつかむという目標ができましたね」
そう言って、照れくさそうに笑った。おそらく、ゴールを目指して猪突猛進した現役時代同様、これからの人生も、新たな目標に向かって突き進んでいくのだろう。
青木孝太、32歳。彼の人生はまだ、ハーフタイムにも差し掛かっていない。
(了)
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