2019.12.27

14年前、全国制覇を果たした野洲の
エースが高校で覚醒した理由

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

2020年のセクシーフットボール 野洲高校メンバーは今
青木孝太(1)  (2)はこちら>>

年末年始に行なわれる恒例の全国高校サッカー選手権大会。今から14年前、普段は名のある強豪が上り詰める『優勝』の座に、突如無名の高校が輝き、ファンの熱狂を呼んだ。卓越したボールテクニックとコンビネーションで、セクシーフットボールと言われた滋賀県の野洲高校だ。当時のメンバーに話を聞いた。

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「サッカーを辞めてから初めてですよ、取材受けるの」

 青木孝太は柔らかな関西弁のイントネーションでそう言った。人のよさそうな笑顔は、Jリーガーだった頃と変わっていない。違いがあるとすれば、少し輪郭に丸みを帯びたことぐらいだろうか。

2005年度の全国高校サッカー選手権。優勝した野洲高のエースストライカーとして活躍した青木孝太 現役時代の青木はフィジカルとスピードを生かし、左足の強烈なシュートを武器にしたストライカーだった。その名前が全国に知れ渡ったのが、高校3年時に出場した全国高校サッカー選手権大会。優勝した野洲高校のエースとして、初戦から決勝戦までの全6試合に出場し、3ゴールを決めた。

 高いテクニックに裏付けされた、クリエイティブなプレーを連発する野洲高のサッカーは『セクシーフットボール』と名付けられ、鹿児島実業との決勝戦には多くの観客が詰めかけた。

 技巧派揃いの野洲高の中で、青木のプレーは異彩を放っていた。猪突猛進。スピードとフィジカルを前面に押し出し、相手が寄せて来ようとも、お構いなしにドリブルを仕掛け、左足を強振した。

「You Tubeとかで当時の映像をたまに見るんですけど、ゴールを目指して一直線。前にしか進んでないんですよね。やばいなぁ、こんなプレーしていたのかと思いますね(笑)」

「絶対に自分がゴールを決める」というエゴイスティックなプレーで野洲高の攻撃を牽引し、テクニックとスピードの野洲スタイルにパワーをもたらしたのが青木だった。

 そんな青木の一番の”被害者”は、乾貴士だろう。1学年下の乾は、2年生ながら攻撃のキーマンとして躍動。持ち味のドリブル突破を武器に、チャンスを量産した。