高校サッカー史に残る野洲の優勝。
主将が語る現在の高校生との違い

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

2020年のセクシーフットボール 野洲高校メンバーは今
金本竜市(2)  (1)はこちら>>

年末年始に行なわれる恒例の全国高校サッカー選手権大会。今から14年前、普段は名のある強豪が上り詰める『優勝』の座に、突如無名の高校が輝き、ファンの熱狂を呼んだ。卓越したボールテクニックとコンビネーションで、セクシーフットボールと言われた滋賀県の野洲高校だ。当時のメンバーに話を聞いた。

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 高校サッカー史に残るクリエイティブなサッカーで全国優勝を成し遂げた、滋賀県立野洲高校。『セクシーフットボール』と呼ばれた、テクニックとコンビネーションが融合した攻撃的なサッカーは、日本の育成年代の指導者に大きな影響を与えた。

2005年度の全国高校サッカー選手権。野洲高の優勝はサッカー界に衝撃を与えた2005年度の全国高校サッカー選手権。野洲高の優勝はサッカー界に衝撃を与えた 当時のスタメンから、6名がプロになった(青木孝太、楠神順平、内野貴志、乾貴士、田中雄大、荒堀謙次)。その後も村田和哉、望月嶺臣、飯田貴敬、大本祐槻などのプロ選手を輩出。全国優勝前は無名の学校だったが、野洲のクリエイティブなサッカーに憧れる中学生が増え、全国から入学希望者が集まってくるようになった。

 第84回(2005年度)の優勝から14年。野洲高は2016年度を最後に、3年連続で全国高校サッカー選手権への出場を逃している。今年度(2019年度)の滋賀県予選ではライバルの草津東高に0-1で敗退。随所に野洲らしさは見られたものの、全盛期のような凄みはなかった。

 小雨が降る中での敗戦を、ベンチの隅でじっと見つめていた人物がいた。2005年度の全国優勝時のキャプテン、金本竜市である。彼は野洲高を経て、京都産業大学のサッカー部でプレーし、卒業後は会社員として働いていた。

 野洲高卒業後、ジェフユナイテッド市原・千葉に加入したチームメイトの青木孝太いわく「昔からみんなの中心で、プロになった選手も、みんな彼に一目置いています。僕もいまだに世話になっていますし」と、全幅の信頼を寄せている。

 金本は野洲高の歴史を作ったひとりとして、全国にその名をとどろかせたチームが徐々に力をなくしていくことに歯がゆさを覚えていた。そんなある日、野洲高が全国大会出場を逃したのを機に、山本佳司監督とコンタクトをとった。

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