「永井、J2をなめてんのか?」と
思われても初采配に迷いはなかった (2ページ目)
試合開始早々からヴェルディは、細かくパスを繋いで主導権を握る。しかし前半32分にパスカットされて失点すると、39分にはセットプレーから追加点を許し0-2とリードを広げられた。
「最初の失点場面は、自分がしてほしいと伝えたサッカーをしようとしてくれる中で起きてしまった。失点したこと自体は気分もよくないけど、普段から『俺たちは5-1で勝つサッカーを目指す』と話しているから、そこまで気にしなかった。でもセットプレーからの2失点目は想定外だった。
とはいえ、失点を振り返っている余裕はない。それよりもさらに相手を見ながらプランを変えないといけない。『2点差がついた。じゃあ3点奪い返すためのプランを考えることに集中しよう』と自分に言い聞かせた。悪い流れをどうやって断ち切り、どう対処すべきかを考えることで精一杯。不安に思う暇もなかった(笑)」
2点を追う苦しい展開に永井は大胆な策を打つ。
前半終了直前に19歳の森田晃樹、後半開始早々に17歳で高校生の山本理仁ら、ユース時代の教え子を次々と投入した。森田はここまでの22試合で先発は1で途中出場は5。山本も先発3で途中出場も3しかなかった。
「『永井、J2の戦いをなめてんのか? ユースの延長じゃねえんだぞ』と思った人もいたかもしれない(笑)。でも、自分の中では自信を持って切ったカードだった。2人には自分が思い描くサッカーを2年半かけて伝えてきた。伝えたいことが10あるとすれば、すべてとは言わないけれど7まではすぐに理解できる。悪い流れを断ち切りたい状況で、晃樹と理仁を使うことについて何の迷いもなかった」(永井)
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