2019.09.23

「永井、J2をなめてんのか?」と
思われても初采配に迷いはなかった

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

永井秀樹 ヴェルディ再建への道
トップチーム監督編(3)

監督という立場でヴェルディ再建を進める永井秀樹大逆転を演出したのは
ユースの教え子たち

 2019年7月20日(土)。永井秀樹は現役最後となった試合(2016年11月12日対セレッソ大阪)以来、約3年ぶりに今度は監督として、ホームの味の素スタジアムに戻ってきた。

「気持ちのたかぶりや試合に集中していく感覚は一緒。でも、現役時代以上に『クラブの命運がかかっている』という思いが湧いた。選手の頃には味わったことのない独特の緊張感があった」(永井)

 準備期間はわずか3日間ながら、永井はさまざまな「驚き」を用意した。

 新キャプテンには、弱冠20歳の渡辺皓太を指名。渡辺は声を出して仲間を鼓舞するようなタイプではないので、経験や実績で考えれば、35歳のベテラン、近藤直也が続けたほうがいいようにも思えた。しかし、6月に開催されたコパ・アメリカでも日本代表メンバーに召集されるなど勢いもあり、チームがきつい時に走り、前に出られない時に先陣を切る渡辺の存在は、プレーで引っ張っていけると判断した。加えて4歳から緑のユニフォームを着て育っていることからも新生ヴェルディの象徴になることを、永井は期待した。

「キャプテン交代についてどう伝えようか考えていた矢先、近藤自身から『永井さんが監督になられて体制も大きく変わるので、キャプテンも変えたほうがいいと思うんです』と申し出てくれた。すごくありがたかったし、自分の考えを理解してもらえていることがわかってうれしかった。キャプテンに指名して一番驚いたのは(渡辺)皓太本人だったと思う(笑)。『えっ!?』って顔をしていたから」

 次に先発メンバーは前節から6人を入れ替えた。トップのフリーマンには、第22節まで先発わずか4のレアンドロ。フォワードに起用した河野広貴も先発出場はここまで3で、梶川諒太も7。新キャプテン渡辺さえも先発出場は12だった。そうした新メンバーの中には、ヴェルディユース監督時の教え子、藤本寛也もいた。誰よりも長く「永井スタイル」を学び、体に染み込ませてきた選手だ。