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「永井、J2をなめてんのか?」と
思われても初采配に迷いはなかった (3ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 森田と山本、そして先発の藤本と合わせて、ユース監督初年度のメンバー3人が、2年ぶりにピッチに揃った。ここから試合は大きく動き始める。

「正しいプレーに繋げるために、まずは正しい位置に立つ。数的な優位とポジショニングの優位性を保ち、攻撃に時間をかける」

 永井サッカーを学んできた3人が揃ったことで、わずか3日で対応しなければならなかった他の選手たちも呼吸が合い始めた。永井の頭の中にあるイメージはピッチでも形になり、流れは一気にヴェルディに傾いた。

 後半5分に1点を返すと、18分に同点弾。それから4分後の後半23分にもゴールを決めて瞬く間に試合をひっくり返し、永井は監督初陣を劇的な逆転勝利で飾った。

「勝利の瞬間はホッとした(笑)。選手は『半信半疑』どころか『二信八疑』でもおかしくない中で懸命に頑張ってくれた。そういう雰囲気を作る役割を果たしたのがユース時代の教え子だった。3日しかない準備期間でも、寛也を中心に晃樹や理仁も、ユースでどんなサッカーをしていたかを伝え、他の選手たちも積極的に確認してくれていた。すごくうれしかったし、ありがたかった」(永井)

「現役時代と監督になってから、勝利の喜びに違いはあるか」と永井に聞いてみた。

「現役時代も、もちろん勝てばうれしかった。でも、特に若い頃は『別に勝ってもうれしくない』という時期もあった(笑)。

 監督になってからは、喜びを分かち合ってくれる人の顔がよく見えるようになった。自分で考えたプランを実行してくれる選手、サポートしてくれるコーチや裏方さんを含めた大勢のスタッフ、応援してくれるサポーター。みんなの顔がよく見えるようになったし、みんなの喜ぶ顔が見られることが何よりうれしい。結果が出た時の喜びは、現役時代とは比べものにならないくらい大きい」(永井)

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