理想と現実の間で揺れる松本山雅。
反町監督に託された難しいかじ取り (3ページ目)
4年前の2015年シーズン、松本はクラブ史上初のJ1昇格を果たしたものの、あえなく1シーズンでJ2へ逆戻りとなった。
豊富な運動量を生かした堅守速攻は、松本の最大の武器であり、J1昇格の原動力でもあったが、それだけで日本のトップリーグを戦うには限界があった。だからこそ、2度目の昇格を果たした今季、松本は4年前とは違う姿を見せようとしている。
先日、J1第8節の川崎フロンターレ戦に敗れた湘南ベルマーレの曺貴裁(チョウ・キジェ)監督が、「相手にボールを渡して守備の時間が長くなるなかで、少ないチャンスを生かす戦いでは、このリーグ(J1)でやるには限界がある」と話していたが、J1昇格とJ2降格を繰り返すクラブ同士、同じことは松本にも言えるだろう。
幸いにして、現段階での松本の成績は3勝2分け4敗と、黒星がひとつ先行しているにすぎない。9試合を終え、総得点6、総失点9という少々寂しい数字にもかかわらず、勝ち点11を積み重ねているのだから、悪くない結果である。
たとえば、勝ち点6で17位のジュビロ磐田は総得点7、総失点10。勝ち点8で13位のセレッソ大阪は総得点5、総失点8。いずれも、これまでに奪ったゴール数は松本と大差なく、得失点差は松本と同じマイナス3なのだが、勝ち点では3ポイント以上の差がついているのだから、松本がいかに効率よく勝ち点を手にしているかがわかる。
J1首位を独走するFC東京相手に、力の違いを見せつけられる結果に終わったとはいえ、今季ここまでの戦いを総体的に見れば、上々のスタートを切っている松本。それだけに、これを何とか最終的な目標、すなわちJ1残留、さらにはJ1定着につなげたいところだが......。
理想と現実の間(はざま)で、反町監督には難しいかじ取りが託されている。
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