神戸はイニエスタの奮闘虚しく4連敗。喪失感から選手に漂う疑心暗鬼
「Despues de la derrota,todo es negativo」(敗北の後は、すべてがネガティブだ)
試合後、ミックスゾーンに出てきたヴィッセル神戸の元スペイン代表FWダビド・ビジャは、憔悴しきった表情で洩らしている。不甲斐ない内容でリーグ戦4連敗。キャリアの大半にわたり、優勝を争うような勝負を続けてきたビジャにとって、その誇り高い心を踏みにじられる思いだろう。
「まずは状況を受け入れる必要がある。相手のFK(による得点)はすばらしかったし、ついていないときはこういうもの。あきらめずにやり続けるしかない」
ビジャはポケットに入れていた手を出し、腕を組んで言っている。しかし言葉とは裏腹に、もどかしそうな表情は少しも晴れなかった。
川崎フロンターレに敗れ、サポーターに挨拶をするヴィッセル神戸の選手たち 4月28日、ノエビアスタジアム神戸。J1第9節、神戸はJリーグ王者、川崎フロンターレを迎えている。
神戸は"戦いのデザイン"は見せた。ラインを高くし、積極的にビルドアップ。相手陣に押し込み、攻撃を仕掛け、ボールを失ったら、プレッシングの強度を高め、ショートカウンターを狙う。それは、第7節まで指揮を取っていたフアン・マヌエル・リージョ監督が目指していた形に近かった。
しかし、形は似ていても、中身はまるで違っていた。張りぼてというのだろうか。それぞれのプレー強度は弱く、コンビネーションも拙く、質の高いトレーニングができていないのは明白だった。見せかけだけで、リージョ神戸ができていたような、相手を威圧する攻守ができない。
「ボールを持たれても、それほど怖くはなかった。少々ボールを持たれても構わないという意識で入っていたから。今日の神戸は(アンドレス・)イニエスタ、ビジャの2人に頼りすぎで、他に目線を変えられる選手がいたら、もっと怖いけど」(川崎・齋藤学)
イニエスタだけは、別格だった。ボールを引き出し、弾く、その単純動作だけでプレーを回した。前半、相手の2人がかりの守備に対し、一瞬のターンとボールの持ち出しでひらりとかわし、2人を"ゴッツンコ"させる芸当まで見せている。
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