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名古屋、上位対決で強さを証明。
攻撃の中心が不在でもパスはつながる

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by Kazu Photography/Getty Images

 Jリーグ第9節。リーグ最多得点を誇る名古屋グランパスと、リーグ最少失点のサンフレッチェ広島という対照的な両チームの一戦は、堅い立ち上がりとなった。ボールを保持し主導権を握った名古屋だが、広島の堅い守備を崩せない。一方、広島も得意のカウンターを狙いたいところだが、名古屋の切り替えの早さに抑え込まれ、両チームともシュートさえ打てない状況が続いた。

 そんな試合展開のなか、均衡を破ったのは名古屋だった。前半37分、前田直輝が長谷川アーリアジャスールにパス。中央でパスを受けた長谷川は右サイドにいるジョーへ展開する。ジョーのグラウンダーの折り返しに、和泉竜司がゴール前で潰れ、こぼれ球を前田が押し込んで、名古屋が先制する。

サンフレッチェ広島戦で決勝ゴールを挙げた前田直輝(名古屋グランパス)サンフレッチェ広島戦で決勝ゴールを挙げた前田直輝(名古屋グランパス) このゴールを生んだのは前田の動きだった。長谷川にパスを出した後、ゴール前に和泉が走り込んで行くのを見て、弧を描くようにしてファーサイドに走った。試合後に「あきらめないで走った」と言っていたが、ここにボールが来るという予感があったかのような動きだった。

 後半になると、広島がボランチの川辺駿にボールを集めて反撃に出る。それでも名古屋は落ち着いてボールを回し、広島にチャンスらしいチャンスを作らせなかった。

 しかし、広島が後半21分に松本泰志に代えて高さのある皆川佑介を、28分に野津田岳人に代えて森島司を入れると、徐々に広島ペースに。広島は何度かチャンスを作ったものの、シュートがゴールポストを叩いたり、GKランゲラックのファインセーブに防がれたりして、結局、名古屋が1-0で逃げ切った。

 広島はこれでFC東京、名古屋と続いた上位対決に連敗した。名古屋戦ではACLの大邱戦で先発出場したパトリックをベンチから外すなどしていたが、今後もACLとの兼ね合いで先発メンバーに頭を悩ませることになりそうだ。

 名古屋はランゲラックが2試合ぶりにスタメン出場を果たしたが、攻撃の中心であるガブリエル・シャビエルが、ケガのため今季初めて欠場した。この広島戦は、彼の欠場で名古屋本来のパスサッカーができるかどうかが注目されていた。

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