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セレッソにロティーナ戦術がじわり浸透。
発展途上もこれだけ変わった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by MATSUO/AFLO SPORTS

「負けるのは好きではないが、満足のできる出来だった」

 そう静かに語ったロティーナは、J1を舞台に名将の真価を見せられるのだろうか。

――志向するサッカーをするために、(水沼宏太のような選手が)必要だったのでは?

 そう水を向けると、ロティーナは不敵な笑みを浮かべて答えた。

「ふふふ。賢いし、クロスがいいね」

 水沼宏太はロティーナの戦い方を左右する選手と言える。日本には少ないサイドアタッカー。サイドで時間を作ることができるし、コンビネーションに長け、斜めに走って決定的な仕事もできる。何よりクロスの精度が高い。幅を作って、深みを作るというサイドの仕事ができるのだ。

「(ロティーナが来て)サッカーがうまくなっている、というのを感じています。それは他の選手もそうで、いろいろあると思いますが、焦らずに信じてやっていこう、と思っています」

 山口戦でキャプテンマークを巻いた水沼は、そう言って顔をほころばせた。

「今までのセレッソは、選手たちが自由にプレーして、というところが多かったです。だから、ロティーナ監督が来たときは、ギャップもありましたね。でも、好き勝手に動くのではなくて、まずはとるべきポジションをとっていれば、結果的により自由にプレーができるんです。シンプルにさばいて、フリーでボールが出てくる感じで、ゴールに早くつながる道筋が見えるというか」

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