名伯楽ネルシーニョは白黒はっきりさせる。
柏は1年でJ1に戻れるか (2ページ目)
その後、2009年途中に柏の監督に就任すると、その年こそ低迷するチームを立て直せずにJ2に降格したが、翌2010年にはJ2を圧倒的な強さで制覇。2011年に復帰したJ1では「昇格即優勝」という快挙を成し遂げている。
さらに2012年には天皇杯、2013年にはリーグカップのタイトルをもたらした。白髪の名伯楽――ネルシーニョ監督は、まさに柏のクラブの歴史を築き上げた人物であるといっても過言ではない。
そんな名将の復帰を、選手たちはどのように受け止めているのか。
「持っている雰囲気は当時のままですね。あれから何年も経っているし、監督も去年、ブラジルで監督を辞めてからいろんなサッカーを見たと言っていたので、当時とまったく同じというわけではないですけど、練習の緊張感だったり、常に実戦を想定してのトレーニングだったりというのは、ここ数年チームになかったこと」
今では数少ない優勝メンバーとなった大谷は、久しぶりに味わうピリピリとした雰囲気に刺激を受けているようだった。
昨年末より柏のGMを務める布部陽功氏も、チームの変化を感じているひとりだ。
「グレーな部分がなくなってきたかなと思います。いいものはいい。よくないものはよくない。白黒はっきりしているのがネルシーニョ監督のいいところ。メンバー構成も、調子のいい選手を使う、コンディションのいい選手を使う。その優先順位がはっきりしているので、選手もわかりやすいし、競争原理が生まれやすいのかなと思います」
布部GMは、現役時代にV川崎でネルシーニョ監督に師事し、引退後には柏でコーチとして支えた。そして今回は、GMと監督の関係性となった。さまざまな立場からネルシーニョ監督に接してきた布部GMは、指揮官の最大の特長を「決断力」とはっきりと言い切る。
「そこに尽きると思いますね。チームの事情や選手の事情、いろんな状況があるなかで、チームが勝つために何をすべきか、その優先順位を躊躇なく決断できるんです。
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