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高校選手権を制した青森山田の主張。
「雪国だからこそ成長できる」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 ボールホルダーに対して複数人で襲いかかる流経大柏の守備は、そこで剥がされてしまえば、他のエリアが数的不利に陥ってしまう。バスケス・バイロンの突破から檀崎が決めた逆転弾は、まさに相手の弱点を突いた見事な一撃だった。

「準々決勝、準決勝、そして決勝と、すべて先制点を奪われ、我々が描いていたゲームプランとは異なった入りとなりました。そのなかで選手たちが平常心を保ち、精神力をコントロールしながら逆転のできるチームになった。選手たちの成長を称えたいと思います」

 2年前に続き、2度目の日本一に導いた指揮官は、選手たちのパフォーマンスに目を細めた。

 黒田監督が、そう感じるのには理由がある。

「本当にヤンチャなところのある学年でしたし、何回ぶち壊れたかわからない」チームだったからだ。

 2年前の優勝メンバーである檀崎も、今年のチームについて、「個の強い選手が多く、なかなかひとつの方向にまとまらなかった」と、一枚岩になれなかったことを認めている。

 22年連続で選手権に出場するだけでなく、世代のトップが集結するプレミアリーグEASTにも参戦し続ける青森山田には、全国から猛者たちが集まる。個性派ぞろいのチームがひとつにまとまるのは、一筋縄ではいかない作業なのだろう。

 夏のインターハイでは昌平(埼玉県)に敗れ、2回戦敗退の屈辱も味わった。今大会前にはキャプテン交代というショック療法も施した。そうした紆余曲折を経ながらも、青森山田は集大成である選手権に向け、着実に結束力を高めていったのだ。

「選手権で優勝するために、青森山田に入った」と檀崎は言う。これは、彼ひとりだけの想いではないだろう。日本一になるために、親元を離れ、寒さの厳しい青森の高校の門を叩く。その環境の厳しさを求め、Jクラブのユースチームから"移籍"する選手も、今では珍しくなくなった。

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