プレーオフでこそ生きる、
東京ヴェルディの「0-0のメンタリティ」 (3ページ目)
はたして、値千金の決勝ゴールが生まれたのは、後半ロスタイムも残りわずかの96分。MF佐藤優平の蹴ったCKに、攻撃参加していたGK上福元直人が頭で合わせると、GKがセーブしてこぼれたボールをドウグラス・ヴィエイラが押し込んだ。
ロティーナ監督は「すごく(両チームが)競った、感動的な試合だった」と語り、勝負どころをこう振り返った。
「ラスト15分でFWを3枚にし、(自分たちの)後ろにスペースを残して攻撃に出た。横浜FCはそのスペースを使って、2、3回の決定機を作ったが、決められず、我々はゴールを決めることができた」
そして、ゴールが生まれたタイミングについては、「その後に相手がリアクションする時間がほとんどなかったので、運がよかった」としながらも、ゴールそのものについては、「97分間やるべきことをやり続けて生まれたゴールだった」と、選手たちを称えた。
退場者を出して、ひとり少なくなかった大宮戦。なかなか攻撃を組み立てられなかった横浜FC戦。いずれの試合も、ヴェルディは会心の内容で連勝してきたわけではない。むしろ、思いどおりに進まない時間が多く、難しい状況を強いられてきた2試合だったと言ってもいい。
しかし、だからこそ、0-0のまま試合を進め、相手が引き分けでもいいと守りに入った瞬間を見逃さず、勝負に出る。そんなしたたかさが際立って見える。
引き分けでもいい相手に対し、勝たなければならないヴェルディにとっては、0-0のスコアは理屈の上では不利な状況だ。ところが、「0-0は自分たちのほうが有利」と口にする選手は数多い。理屈はともかく、彼らは0-0を――このままのスコアで終われば自分たちの敗退となる状況を、恐れていないのだ。
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