プレーオフでこそ生きる、東京ヴェルディの「0-0のメンタリティ」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

 東京ヴェルディが、J1昇格への道に立ちふさがる関門を、またひとつ突破した。

 J1参入プレーオフ2回戦。J2で6位のヴェルディが、同3位の横浜FCを1-0と撃破。1週間前に行なわれた1回戦で、同5位の大宮アルディージャを1-0で下したのに続き、リーグ戦上位クラブを連破した。

 J1参入プレーオフ2回戦で横浜FCを下した東京ヴェルディ J1参入プレーオフ2回戦で横浜FCを下した東京ヴェルディ この2試合、ヴェルディのしたたかに勝負どころを見極める、いわば勝負強さが際立っている。

 1回戦の大宮戦は、前半こそ多くの選手が「やりたいサッカーができた」と口をそろえたように、ボールを保持して攻勢に試合を進めることができた。

 しかし、後半は退場者を出し、ひとり少ないなかで、奪った得点はセットプレー(FK)からの1点のみ。それを、必死に守り抜いての勝利だった。

 そして、2回戦の横浜FC戦では、相手の連動したプレスの前に思うようにパスをつなげず、相手選手に囲い込まれてボールを奪われる。そんなシーンが相次いだ。ボランチのMF井上潮音が振り返る。

「(横浜FCは)リーグ戦(で対戦したとき)とはまったく違うプレスのかけ方だった。自分たちの(ボールの)回し方を研究してきていた」

 だが、プレーオフの2試合を通じて、ヴェルディの選手たちに慌てる様子はうかがえない。

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