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途中交代に苛立ちの表情。トーレスは
なぜゴールできなくなったか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

「アウェーではなかなか勝てなくて......(7分け6敗)。昨シーズンもそうだったんですが、なぜだかはわからないです。ホームでは"最初から前にいく"という感じになるからでしょうか。どうしても(受け身に回ると)前と後ろの距離が空いて、後手に回ってしまう」(鳥栖・FW小野裕二)

 不振に喘ぐチーム状況が、トーレスに影響を与えているのは間違いない。

 ボールが来ないことに焦れ、トーレスが中盤に下がる。ストライカーよりもパサーのようになってしまう。これでは、宝の持ち腐れに等しい。

「チームのために」という謙虚さが、ゴールゲッターとしての精度も狂わしているのではないか。

 柏戦も、トーレスはノーゴールだった。前半、遠目から打ったミドルは当たりが悪かったし、CKからフリーで打ったヘディングもヒットしていない。後半、右からのクロスをファーに逃げて打った2度のヘディングは、シュート準備動作までは完璧だったものの、強度が弱かったり、振りすぎて当たり損ねたりした。

「(トーレスが)前半で足を痛めたようだったので、後半はマッシモ(フィッカデンティ監督)に『いつでもいけるように』と言われていました」(鳥栖・FW豊田陽平)

 トーレスは体調が万全ではなかったのかもしれない。5月以来の実戦にいきなり復帰し、疲れもたまってきているのだろう。この日は夏のような暑さが蘇ったコンディションも影響していた可能性もある。

 しかし、無得点を続けるストライカー特有の焦燥感を抱えていたのも事実である。これまでの試合と比べ、プレーは精彩を欠いたし、表情も冴えなかった。余裕がなくなってきているのだろう。海外の厳しいリーグだったら、各方面から批判を受けているはずだ。

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