スペイン帰りの鈴木大輔は、残留争いの柏レイソルをタフな信念で救う (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

「たしかに大変な状況ですね。でも、それなら自分がリーダーシップを取って、経験を生かし、少しでもいい方向へ持って行くことができればと思っています。それが自分にとっても大きなチャレンジです。その結果、先のステージで『おかげで成長できた』と言えるようにしたいですね。文句を言うのは簡単なので、自分なりにチームも個人も引っ張っていきたい。ひとりの人間として、もうひと皮むけられるように」

 鈴木の人間性と経験は、下位に沈むチームの活力になるだろう。アルビレックス新潟時代は、残留に成功したことで、新たな一歩を切り開いた。スペインで所属した2部ヒムナスティック・タラゴナでも、2シーズン続けて苦しい残留争いを戦いながら、ほとんど奇跡的に降格を免れている。若く、経験の浅いプレーヤーが多い柏にとって、鈴木は救世主になり得る。

「直感」

 浮沈を懸けた戦いに挑む柏へカムバックした理由をひと言で語った鈴木は、タフな信念で戦い抜くはずだ。

「自分は型を持たないようにしています。やっているうちに、その場所や状況が快適になっていけばいいというか。天才ではないから、やっていく過程で成長していく。あえて言えば、その順応性が自分の長所なのかもしれません。自分は厳しい環境に身を置いたとき、成長してきたと思うんです」

 鈴木はそう語っている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る