熊谷浩二は選手たちに伝えている。ジーコスピリッツは人生にも必要だ (2ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

「高い能力を持った選手たちです。でも、若いために、意欲が強すぎて、ミスをすることもある。そういうときは『大丈夫』とか『集中』とか日本語で言葉をかけます。たまに韓国語で言ってしまうことがあるけれど、気持ちは伝わっているはず」

 この日好セーブを連発したGKのクオン・スンテは、若いセンターバック陣についてそう話した。そして、鳥栖からの加入が決まった韓国代表の24歳のセンターバック、チョン・スンヒョンについては、「できるだけサポートしたいと思っています。でも、集中を欠くようなときは、日本人選手に対するよりも、叱るとは思いますが......」と笑った。

 翌26日、大阪で行われたトレーニングには、そのスンヒョンの姿があった。左足関節捻挫で全治約3週間となった昌子に代わり、急遽大阪入りしたという。

「昨日の夜の9時に言われて、びっくりしました。初めての練習は緊張もしましたが、チームメイトがよくしてくれました。アントラーズはJリーグで一番強いチームですし、一番名門だと思いました。昌子選手がJリーグで一番いい選手だと思いますが、僕も韓国のプライドをかけて、ここに在籍していたイ・ジョンスさんやファン・ソッコさんもすごい成績を残していたので、それ以上の成績を残さなければいけないと思っています。そして、それを超えるような選手になることが、目標です」

 日本語を交えながら、意気込みを語るスンヒョン。早ければ、土曜日のガンバ大阪戦の出場も可能だが、W杯以降チーム練習からは遠ざかっていたため、コンディション的には不安も残る。それでも、「常に準備をしているのがプロサッカー選手」と話した。

「アグレッシブさ、意識の高さに感服した。チームとして一体感を持って戦えた」

 大岩剛監督は、試合後、選手たちをねぎらうようにそう評した。先発の平均年齢25.82歳。若いアントラーズはこの夏を駆け抜けられるのか?

 大阪2連戦の後半は7月28日、新監督を迎え、情報量の少ないガンバ大阪との対戦だ。

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