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ブーイングのなか「遺恨対決」。
齋藤学の復帰が川崎Fにもたらすもの (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 ところがその直後、CKを与えると、エリア内で中澤佑二をフリーにし、ヘディングシュートを打たれると、DFに当たってコースが変わり、同点に追いつかれてしまった。

 その後、川崎Fは仕留める力のある大久保嘉人を投入し、攻撃陣に鞭を打つ。しかし、全体のテンポが上がらない。さらに77分、齋藤を左サイドに入れ、総攻撃を仕掛けた。

「(齋藤)学はドリブルの推進力があるし、それでチームにパワーを与えられる。そこが一番の期待。彼に預ければ何かやってくれるし、それで相手が釘づけになるから、逆サイドは空いてくる。ボールを前に運べる力というか、うちにあまりいないタイプの選手だと思う」(川崎F・中村憲剛)

 齋藤は登場した瞬間、古巣の横浜FMファンから強烈なブーイングを浴びている。その後もボールを触るたび、怒ったようなブーイングを受ける。移籍を決断したエースへの、愛情の裏返しと言えるだろう。

 約200日ぶりのピッチとなった齋藤は、直後は試合には入り切れなかったものの、数分で調子を上げる。最後のプレーでは、冷静に大久保の動きに合わせてスルーパスを送ったが、シュートはブロックされてしまった。

「(横浜FM戦まで)試合は先週、大学生を相手にやっただけ。思った以上に、疲れましたね(笑)。(試合に)出た瞬間に、一度心拍数が上がった感じで、それが落ち着いてからはやれたのかなと。GKの逆をついて弾かれたシュート? あれは嘉人さんを狙ったクロスが変なところに当たって飛んじゃっただけです」

 齋藤は正直に明かし、久しぶりにピッチに立って、ボールを蹴れた実感を噛みしめていた。

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