移籍組の名良橋晃は「相手PKに
ガックリしただけで雷を落とされた」
遺伝子 ~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(7)
名良橋晃 前編
4月3日、上海。ACL第5節、上海申花とのアウェー戦は苦しい試合だった。「前半の悪さは今のうちのチームの課題。それを改めて感じた」と鈴木優磨が振り返ったように、セットプレーから2失点しただけでなく、内容的にも相手に圧倒された45分間。球際でもまったく勝てず、腰が引けた戦いが続いた。
「相手は後半になると運動量が落ちる」。ハーフタイムに大岩監督が激を飛ばす。「スカウティングから『両サイドの強度が下がる』という情報があり、そこを突こうとスイッチを入れた」
その後半、分析どおり相手の勢いが止まったこともあったが、鹿島の選手それぞれが球際での勝負に勝ち、鈴木の1ゴール1アシストで2-2とし、ACLグループリーグ突破が決まった。
「球際の勝負から逃げていたら話にならないし、まずは球際で戦うことなど、当たり前のことをやろうとハーフタイムに話し合った。そのうえで、マークをはっきりさせたことでよくなったと思います」(植田直通)
この日先発出場した小笠原満男の言動が選手たちの心と体を動かしたという。
「今日は(昌子)源くんもいなくて、(金崎)夢生くんもベンチスタート。出場した若手が試される試合だった。そういうなかで誰が引っ張るとかではなく、年齢に関係なく誰もが『自分が引っ張っていく』という気持ちで戦えば、今日の後半みたいにいいサッカーができる。
最近は自分も含めて、他人まかせというのがあったと思う。試合前に満男さんと『うちのチームにヒーローはいらない』という話をした。チームの勝利のために自己犠牲を払ったプレーが大事だと。今日も満男さんが先発し、変わったと思う。一番年が上の満男さんが一番走っていた。自分も負けたくないという気持ちになるし、あの人が走っているのに、なんで、俺ら若手が走れないんだという気持ちになる。満男さんはプレーで引っ張っていく人。間違いなく、俺らにそれが伝わっているし。俺らがもっとやらないといけないなって気持ちにはなっています」
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