中田浩二は考えた。「元選手が
経営サイドに身を置くことは重要だ」 (4ページ目)
――フランスのマルセイユやスイスのバーゼルといった、ヨーロッパでの選手経験が、クラブ経営という面で武器にもなるんじゃないですか? サッカーが文化として根づき、スタジアムが街の中心地として機能しているさまを体験したのだから。
「特にバーゼルは、スタジアム内にショッピングセンターや老人ホームがあったりと、有効利用しています。そして、充実したVIPルームやサービス面での工夫も怠らない。日本はプロ化されて25年。100年を超える歴史のあるヨーロッパとすぐには同じようにはできないけれど、それを目指して歩んでいます。
でも、ピッチ上のサッカーだけでなく、経営、ビジネス面でもヨーロッパのクラブはスピード感を持ち、進化し続けています。だからこそ、競技者としてサッカーを学び、経営も学んだ人間が必要だと思うんです」
――今の立場でも「チームが勝つためになにをすべきか」という思考は重要ですか?
「もちろん。クラブチームというのは、トップチームだけでは成り立たない。それを今つくづく感じています。当然クラブを引っ張るのはトップチームです。そこを充実させるためには資金も必要です。だから、事業部としてそれを準備する。強化と事業の両輪をバランスよく回すことで、いっしょに戦っている。
スタジアムへ足を運んでくれるサポーターは、遠くからも来てくれます。バスを2、3時間乗ってきて、つまらない試合を見せるわけにはいかない。満足感を持って帰ってもらいたいし、それが愛着を生むはずです。いっしょに戦い、タイトルを獲れたときの興奮を味わってほしい。
トップチームが勝つために『自分は何をやらなくちゃいけないか』をみんなが考えています。それがジーコのいう"ファミリー"なんだと思います」
◆中田浩二「アントラーズの紅白戦はきつかった。試合がラクに感じた」
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