中田浩二は考えた。「元選手が経営サイドに身を置くことは重要だ」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko   井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

遺伝子 ~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(4) 
中田浩二 後編

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 3月10日のJリーグ第3節・サンフレッチェ広島戦を0-1で落とすと、3月13日のACL対シドニーFC戦も1-1と引き分けに終わった鹿島アントラーズ。試合後、SNSにはサポーターの厳しい声が上がっていた。

 シュート数では相手を上回りながらも、ゴールを奪えず、勝利を飾れない。鹿島の勝利を信じているからこそ、そのフラストレーションも大きい。共に戦っているという自負があるからこそ、チームを甘やかさない。彼らの声は熱く、そして真摯だ。そんなクラブ愛に溢れているのはスタンドを埋めるサポーターだけではない。長年スポンサーを務める企業もまた、鹿島とともに戦っている。

 2014年に現役を引退した中田浩二は、ピッチを離れた今、それを強く感じていると話す。

 大岩剛監督、柳沢敦・羽田憲司両コーチ、そして今季からは新たに佐藤洋平GKコーチが就任。ユースチームでも熊谷浩二監督が指揮を執(と)っている鹿島アントラーズ。かつての現役選手を指導者として起用することに以前から積極的だった。ブラジル人監督時代もOBの日本人コーチを置き、指導者育成に努めてきた。

指導者ではないが、現役選手に声をかけることもあるという中田浩二C.R.O指導者ではないが、現役選手に声をかけることもあるという中田浩二C.R.O

 そんな鹿島が初めてクラブの職員にOB選手を起用したのが、2015年から事業部でクラブ・リレーション・オフィサー(C.R.O.)を務める中田だった。

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――現役引退後、指導者のキャリアを歩む人は少なくありません。そういうなか、ピッチという現場ではなく、クラブの職員として仕事を始めたのはなぜですか?

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