福田正博の心に残るもの。「世界で一番悲しいゴール」を決めた後で... (3ページ目)
Vゴールを決めた福田正博に抱きつく池田学。photo by Yamazoe Toshio
「最初、何が起こったのかわからなかった。見たら(池田)学が抱きついてきて......。もう、ありえないって思った。俺らは、広島相手に勝つか、負けるかの試合をしていたわけじゃなくて、(J1に)残留できるかどうか、という厳しい試合をしていたわけ。
でも、学が喜んでいたということは、90分間の戦いで降格が決まったことを知らなかったということ。本来、この試合の重要性を理解していれば、プレーの質や判断がシビアになってくるし、90分間で勝つようにプレーするわけでしょ。それがわからない選手が11人の中にいたということが、そのときの浦和のレベルってことだよね。そういう選手を使わなければいけないレベルのチームだった。それが、悲しかったし、すごく寂しかった」
ハーフウェーラインに歩いていく途中、涙がこぼれてきた。
今までピッチ上で泣いたのは、『ドーハの悲劇』のときしかなかったが、そのときとは違う種類の涙だった。涙腺が壊れてしまったのかと思うほど、その涙は止まらなかった。
「みっともないくらい泣いていた。(チームを)J2に降格させてしまったこと、監督に対しての悔しさもあった。チャンスをもらった自分が十分な働きができなかった歯痒さ、これだけのメンバーがいて『なぜ勝てないんだ』という思いもあった。そんな、いろいろな感情を抑え切れなくなってしまった」
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