「ラモスの教え」。監督・永井秀樹が、
ヴェルディユースで目指すもの (3ページ目)
「当時言われていた、いわゆる『ヴェルディらしいサッカー』って、わかりやすく説明すると、圧倒的にボールを支配して、ゴール前でたくさんシュートチャンスを作れる、見ている側もプレーヤーも楽しいというサッカー。実際に一緒にプレーしていたからよくわかるけど、そのサッカーができるかどうかは、"ラモス瑠偉の存在"があるかどうかで決まる。
ラモスさんは、たとえ試合に勝ったとしても、理想とするサッカーができていなければ、決して満足することはなかった。当時、自分たち若手は試合に勝てば、何でもかんでも喜んでいた。ときには、ドンチャン騒ぎのようにロッカールームで騒いでいた。でも、そんな中でラモスさんだけは違った。内容が伴わなければ不機嫌になり、はしゃぐ若手を見て『ふざけんな、おまえら!』『何がうれしいんだ!』『なんだ、今日の試合、クソ試合じゃねぇか! 何がヴェルディだ!!』と激昂し、説教をし始めた。
当時、自分もまだ幼稚なサッカー脳しかなかったから、内心では『試合に勝ったんだから、喜んだっていいじゃないですか』と思いながら、ラモスさんの説教を聞いていた。でも、今となれば(ラモスが言っていた)理想を追求することの大切さがものすごくよくわかる」
日も暮れ始めたので、麻生グラウンド近くのパスタ屋に移動。そこで、話の続きを聞いた。「フロンターレ選手御用達」という店は、家族連れや女性客などで賑わっていた。
3 / 8