セレッソ大阪、ルヴァンカップ優勝。初の戴冠に至る「ふたつの伏線」
どちらが勝っても初優勝――。どこか新鮮で甘美な印象を与えるその顔合わせは、しかし裏を返せば、あまりに非情な巡り合わせだとも言えた。
今季ルヴァンカップ決勝で顔を合わせたのは、セレッソ大阪と川崎フロンターレ。Jリーグ誕生以降、何度も初タイトルを手にしかけながら、そのつど逃してきた"シルバーコレクター"の両クラブにとって、ルヴァンカップ初優勝であるとともに、クラブ史上初タイトルをかけた戦いでもあった。
だが、それをなせるのは1クラブだけだ。
つまり、いまだ無冠同士の対戦は、どちらかが待ち焦がれた栄光に浴する一方で、どちらかは残酷な仕打ちをまたしても受けることになる。
ルヴァンカップを制して、初のタイトルを手にしたセレッソ大阪 はたして、悲劇の繰り返しに終止符を打ったのは、セレッソだった。尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督がニッコリと笑みをたたえ、語る。
「(グループリーグから)1回も負けずに、ここまでこられるとは思っていなかった。すごいことをやった選手たちに『ありがとう。ご苦労さま』と言いたい」
試合は開始早々、動いた。
左サイドからのスローインをFW柿谷曜一朗がヘディング。フワリと浮いたボールは、川崎のDFエドゥアルドがいち早く落下点に入り、難なく処理するはずだった。
ところが、エドゥアルドが無造作に振った左足の脇をすり抜けたボールは、まるで計ったかのような絶好のパスとなって、FW杉本健勇の足もとへ。"タナボタ"でGKと1対1になった杉本はこのチャンスを落ち着いて決め、セレッソが先制点を奪った。
1 / 6