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「モチベーター」呂比須監督は、
窮地のアルビレックスを救えるのか (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe JL/Getty Images

 仙台戦前から、呂比須監督は守る強迫観念に駆られていた。「10対0」とも言われるプレッシング練習を重ねていたという。相手選手はなく、ピッチの各所に置いたボールに向かい、選手全体でスライドしていく。実戦性は乏しい練習だった。

 しかも結局、試合では前からプレスにいかず、ブロックを作って自陣にベタ引き。付け焼き刃の人海戦術だった。

「どこに向かっているかわからない」

 選手が疑心暗鬼になっても不思議ではないだろう。

 はたして新潟は、呂比須監督の何を評価し、緊急事態に招聘したのか。ガンバ大阪コーチ時代(実質は監督)の評判は、婉曲的に言って「よくはない」だろう。ブラジルではその後、4年半で10チームを率いたが、3~4カ月であちこち移籍し、めぼしい成績もあげていない。世界中にもっと力のある監督は大勢いる。そもそもJ3で苦戦していた三浦監督と契約し、10試合で事実上の解雇にする決定にも、戦略的デザインが見えない。

 仙台戦、新潟の選手の士気は高かった。スタンドからの声援も最後まで途切れていない。チームはいくらかの運にも恵まれていた。それでも、勝てなかった。

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