「モチベーター」呂比須監督は、窮地のアルビレックスを救えるのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe JL/Getty Images

 5月に入り、アルビレックス新潟は三浦文丈監督を事実上、更迭している。理由は成績不振。開幕以来10試合でわずか1勝と、降格圏に沈んでいた。そして11日にはブラジルのクラブチームを率いていた呂比須ワグナーを監督として招聘している。呂比須新監督はチームを救えるのか。

 彼についての印象を訊ねると、選手たちは端的に答える。

「モチベーター」

 実はこれはふたつの意味に受け取れる。ひとつは士気を高めるのに長けたリーダー。もうひとつは士気を高めるしか術(すべ)がないリーダー。呂比須監督はどちらなのか?

仙台戦で選手たちに檄を飛ばすアルビレックス新潟の呂比須ワグナー監督仙台戦で選手たちに檄を飛ばすアルビレックス新潟の呂比須ワグナー監督 5月28日、仙台ユアテックスタジアム。スタンドでは腹の底に響いてくるような太鼓の音に、願いを込めたような声援が重なった。アウェーの新潟応援陣は、数では劣るものの、必死に選手たちを鼓舞した。

 新潟の選手たちは声援に支えられながら、ベガルタ仙台の攻撃に対し、体を張って忍び、耐えている。まるで辛抱することが使命であるかのように、ボールゲームを捨て、徹底的に守った。左サイドが火の車になりかけるが、水際で真ん中が踏ん張る。アタッカー陣も、ほとんど自陣内でのプレーを余儀なくされた。

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