ヒントは五輪リレー。日本サッカーに
必要な「個の力」を福田正博が考察 (2ページ目)
W杯で強豪国から勝ち点を奪うために日本が重視すべきなのは、技術力だと私は考えている。ここで言う技術力とは、組織を活かすための「個の力」だ。個の力というと、単にドリブル突破や、走るスピード、フィジカルの強さを指すと思われているが、「どういったスタイルのサッカーをするか」によって必要となる個の力は異なり、優先順位も変わってくる。
極論にはなるが、レアル・マドリードのような個人技に依存する割合が多いスタイルを採るのであれば、走るスピードやフィジカル強度などが重視され、クリスティアーノ・ロナウドや、ガレス・ベイルのような選手が必要とされる。それに対し、バルセロナのようにポゼッションと組織力を重視し、速くて正確なパスワークのサッカーを実践するのであれば、求められる「個の力」は、パスやトラップ精度の高さ、的確なポジショニングを取る戦術理解度や判断力、イメージの共有になる。アンドレス・イニエスタやセルヒオ・ブスケツが好例だろう。
また、クラブチームであれば、戦力を国外から獲得できることもあって、監督の志向するスタイルに比較的簡単に変えられるものの、代表チームでそれをするのは容易ではない。だからこそ、その国の文化や国民性、体格などをふまえたスタイルを構築する必要があると私は考えている。
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