ヒントは五輪リレー。日本サッカーに
必要な「個の力」を福田正博が考察 (3ページ目)
残念なことに、今の日本代表は明確なスタイルを一貫して構築できていないように思える。2010年以降、2014年ブラジルW杯まではザッケローニ監督のもとで組織力をベースにしたパスサッカーで戦っていたが、後を引き継いだアギーレ監督の予期せぬ解任を経て、ショートカウンター主体の戦い方に長(た)けたハリルホジッチ監督が就任したことで、一からチーム作りを余儀なくされている。
ただし、現在のショートカウンターを重視するスタイルは、フィジカルの強さや高いスプリント能力をベースにして成り立つものだ。海外勢に比べて体格や身体能力で劣る日本代表に最適かと考えると、あまり向いているとは思えない。
そのため私は、日本サッカーのスタイルは、大前提として技術力と組織力をさらに重視するべきだと考えている。日本人が弱点とするスピードやフィジカルの強さは、どれだけ鍛えても他国を上回るレベルに引き上げることは難しく、体格が劇的に大きくなることもない。育成年代から強化に取り組んだとしても限界があるからだ。
もちろん、弱点をなくす努力は必要で、すべての能力が高いに越したことはないが、「ドリブル突破」がほとんどないパスを主体にしたスタイルを採れば、クリスティアーノ・ロナウドのような筋骨隆々の選手がいなくても戦えるし、競り合いを極力避ける戦い方をすればフィジカルが強くなくても勝利を手にすることができる。
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