OB福田正博が考える、「浦和レッズが真の王者になれない原因」 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 浦和の選手交代については、間違った判断とは思わない。後半14分に攻撃的な高木俊幸から守備的な青木拓矢に交代したことで、DFラインを押し上げられなくなったと見る向きもある。しかし、柏木陽介が相手の厳しいチェックにあい、前を向いてプレーできずにボールを奪われていたことを考えれば、中盤の守備を考慮しての青木投入は妥当だった。これは、リーグ戦で何度も行なわれてきた交代パターンであり、守備に混乱をもたらすものでもなかった。

 だが浦和には、状況に応じた共通意識が欠けていたように思う。前半40分までは鹿島に攻撃らしい攻撃をさせていなかったが、ミスから同点に追いつかれたことで意識に齟齬(そご)が生まれた。同点にされた後の浦和は得点を奪いに出て、中盤がオープンになる展開を作ってしまった。最終的にはそこでボールを奪われて一気にゴール前まで持ち込まれると、槙野智章がたまらずファウル。PKを与えることになってしまった。

 後半を同点で終わらせれば優勝できると割り切り、リアリストに徹して守備を固めていれば違った結果になったかもしれない。

 たしかに、浦和が勝ち越しゴールを奪えれば、鹿島にトドメを刺せた。ただ、戦い方としては、まず守備を優先して時計の針を進め、焦れた相手が人数をかけて攻撃してくるスキをついて、少ない人数でゴールを狙うべきだった。そうした冷静な判断と意識の徹底が、チーム全体に欠落していた。

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