年間3位からJ王者へ。
アントラーズとレッズとは何が違ったか (5ページ目)
鹿島は年間勝ち点3位からの"逆転優勝"を果たした。年間勝ち点1位の浦和とは、勝ち点15も離されており、チャンピオンシップという制度を最大限に活用したことになる。
だが、その結果、どこよりも多くの勝ち点を挙げながら、J1優勝のタイトルを得られなかった浦和が悔しいのは当然としても、定められたルールのなかで勝利した鹿島にしても、素直には喜びにくい優勝となったことは確かだ。小笠原が語る。
「正直言えば、年間1位で挑んで、今日も勝ちたかったのが本音。ルールのなかで勝ちは勝ちだが、本音は......。そこは来年にとっておく」
冒頭にも記したように、ルールはルール。チャンピオンシップという優勝決定方式は、リーグ戦が終わった後に突然実施が決まったわけではないし、シーズンが始まる前から今季のJ1年間優勝がどのように決まるかは、誰もが知っていた。
だが、その一方で、こうした結果になることを、誰もが(とりわけ、チェアマンをはじめとするJリーグ関係者は)恐れてもいたのではないだろうか。
昨季は、幸いにも年間勝ち点1位のサンフレッチェ広島が優勝したおかげで、大事には至らなかった。Jリーグが犯した失策が、目立たなかっただけのことだ。しかも、場当たり的に、つぎはぎだらけで強行された仕組みは、反省とはまったく違う理由で来季は姿を消す。
まさに世紀の愚策。J1王者が決まる晴れやかな夜、Jリーグはその歴史に大きな汚点を残した。
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