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自力での自動J1昇格消滅。
16戦負けなしの松本山雅に何が起きたのか (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 松岡健三郎/アフロ●写真 photo by AFLO

 後半の松本は論理の正しさを証明している。怒濤の攻撃で、喝采を送りたくなる巻き返しだった。75,76分には、石原崇兆が立て続けにPKの笛が鳴ってもおかしくない場面を作っている。どちらも相手選手はゴールへの進行を妨げ、ボールにも触れていない。しかしあろうことか、石原がシミュレーションでイエローカードまで受けてしまう。これで万事休すだった。

 不運は緻密な計算を狂わせたか。終盤、反町監督は柄にもなく論理をかなぐり捨て、長身FWを並べる一か八かに出た。しかしラインが間延びし、スペースを使われ、むしろ相手の息を吹き返させることになった。

「サッカーは負けることもある」

 記者たちに囲まれた田中隼はそう繰り返していた。もはや、腹をくくるしかないのだろう。最終節、松本が自動昇格するには勝利が最低条件。コンサドーレ札幌が負けたとしても、松本が3点の得失点差を挽回して勝たなければ及ばない。勝ち点で並ぶ清水エスパルスには得失点差で遠く及ばない。いずれも相手の結果次第で自動昇格は消えることになる。

「私が昇格を争うのはこれが初めてではない。かつて最終戦で決めたこともあった。湘南でも、新潟でも」

 反町監督はそう言って口元を引き締めた。論理を超えた勝負もしてきた男だ。

 11月20日、松本は本拠地アルウィンで横浜FCを迎え撃つことになる。

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