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自力での自動J1昇格消滅。
16戦負けなしの松本山雅に何が起きたのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 松岡健三郎/アフロ●写真 photo by AFLO

 前半終了間際も、再び右サイドの防御線を破られ、ファーポストの折り返しを中央で仲川輝人に2点目を押し込まれている。このときも右サイドでスイッチした選手に3人の選手が置き去りにされてしまった。

「2失点目が大きかったと思う。あれだけリズムが悪かったので、1点差で折り返したかったが。(2度も)バーに救われる神頼みにすがっては、ゴールに辿り着けない」

 反町監督は少し自嘲気味に言った。

 しかし、後半の松本は別の顔を見せた。本来の姿と言うべきか。最終ラインを高く保ち、両ワイドが高い位置でボールを持つと、外側から万力で圧迫するような攻撃を繰り返す。サイド攻撃によって、中の守備を撓(たわ)ませる。そして後半21分、ペナルティエリアの角でスペースを得たFW高崎寛之が右足を振り抜き、追撃弾を叩き込んでいる。

「この選手たちでどう戦うか」

 反町監督は言うが、その手腕は瞠目に値する。多くがJ2を主戦場にしてきた選手だが、その才能を"絞り出している"。例えば、左サイドには左利きの選手を配置(左CB喜山康平、左WB那須川将大など)。これによって、ボールの動きは左巻きだけでなく、右巻きにもなる。ダイナミズムが生まれ、攻守のバランスが向上する。実はこれだけでもJリーグでは珍しい。

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