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37歳・中村俊輔のキック技術を超える選手は、いまだに現れない (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 例えば、大きく逆サイドへ展開するロングパスひとつを取っても、中村の技術の高さはよくわかる。彼ほど低く鋭い弾道のボールを、文字どおり糸を引くように正確に届けられる選手は、J1でもそうはお目にかかれない。

 もちろん、大きなサイドチェンジのボールを蹴るだけなら、できる選手は他にもいる。だが、その多くはパスの軌道が大きな弧を描く。つまり、それだけボールの滞空時間が長くなり、敵にとってはボールの動きに合わせて動く時間が生まれることになり、対応しやすくなってしまうのだ。相手選手に移動の暇を与えないという点において、中村のロングパスの質は図抜けて高い。

まもなく38歳となる中村俊輔だが、いまだJリーグナンバー1の技術を誇るまもなく38歳となる中村俊輔だが、いまだJリーグナンバー1の技術を誇る 中村のキックの技術は、彼の代名詞でもあるFKにも生かされている。

 スピードがあるボールに変化をかけて、しかも正確にゴールの隅へと送り込む。これは誰にでもできる芸当ではない。

 日本でFKの名手は誰かと尋ねられれば、多くの人がいの一番に中村の名を挙げるだろう。おそらくそれは、この10数年来、変わることがない。中村は今年6月に38歳になるが、彼を超えるキック技術の持ち主は現れていないということだ。

 ゴールデンウィークの最終日、5月8日に行なわれたJ1ファーストステージ第11節、ヴァンフォーレ甲府戦(2-2の引き分け)でも、中村の技術の高さは随所に見られた。

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