2016.05.11

サガン鳥栖の選手いきつけの店で思う。「愛されるクラブ」の流儀

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 今シーズン、サガン鳥栖は少し苦しんでいる。奮闘が勝ち点に結びつかない。

 第9節はエース、豊田陽平の2得点でどうにか勝利したものの、その後は湘南ベルマーレ、サンフレッチェ広島に連敗し黒星が先行。16位と低迷する。

 しかし、チームを支える人々と小さな町の熱量が簡単に衰えることはない――。

現在16位。反撃が期待されるサガン鳥栖イレブン「ビールは泡で違いが出る」

 酒呑みたちは知ったような顔を浮かべ、そんなご託を並べる。真偽のほどはわからない。しかしもしそうだとしたら、この店は合格だろう。泡が圧倒的にまろやかで、モコモコとしているのにべたつかない。よって、キレも立つ。お店では毎日、ビールサーバーの洗浄タンクに水を入れ、水通し洗浄し、清潔を保つ。週一で小さなスポンジを通して洗う念の入りようだ。

 女将さんはドラフトマイスターの資格を持つらしいが、むしろ日々の地道な努力がスキルに勝るのだろう。

佐賀県鳥栖市にある創作料理屋『うらら』には、地元のサッカークラブ、サガン鳥栖の選手たちが数多く訪れる。女将さんは「ありがたいことに、(お客様として)来たことのない選手のほうが少ないですね」と朗らかな笑顔で言う。