サガン鳥栖の選手いきつけの店で思う。「愛されるクラブ」の流儀 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

ベストアメニティスタジアムからも程近い『うらら』ベストアメニティスタジアムからも程近い『うらら』 筆者が同チームのエースである豊田陽平のノンフィクション記事を『Sportiva』で取材するとき、常用しているのもこの店である。NHK『サンデースポーツ』のルポもここで行なった。なぜだか落ち着く店である。カウンターには鳥栖の主力選手たちのサイン色紙が飾られ、その文字すらも雰囲気に馴染んでいる、とは言い過ぎか。

『うらら』の雰囲気が選手やその家族に愛される理由。それは鳥栖というチームのあり方に似ているからかもしれない。

 鳥栖は小さな町の地方クラブだ。サッカーに興味がなければ、町の名前を知らない人の方が多いだろう。しかし、大きいか、小さいかはたいした問題ではない。むしろ、小さいことで結束力が高まる。情熱の濃度も上昇する。鳥栖の選手たちが見せるハードワークは、その結晶とも言えるかもしれない。いつしかハードワークは鳥栖というクラブの専売特許のようになった。

「最後まで諦めず、走りきり、戦いきること」

 それが鳥栖の戦いの流儀である。派手さはなくとも、心を打てるか――。

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