天皇杯決勝で小笠原が示した、鹿島に受け継がれる「常勝の精神」 (2ページ目)
初タイトル獲得への執念を燃やし、チャンピオンシップ準決勝のリベンジを誓う川崎は、鹿島にとってある意味、クラブワールドカップ決勝で戦ったレアル・マドリードより難しい相手だったかもしれない。
試合は延長戦までもつれ込んだが、それでも鹿島の選手たちは悲鳴をあげる身体にムチを打って勝ち切った。2ゴールはいずれもコーナーキックとその流れから。120分間を通してみれば、押し込まれる時間帯のほうが多かったかもしれない。しかし、耐えるべきところでしっかりと耐え、カウンターやセットプレーから勝機を手繰り寄せたのは、この40日間の集大成であり、それこそが鹿島の本質だった。
この試合のハイライトのひとつが前半18分に小笠原満男が激昂したシーンだろう。ファウルで倒されたあと、中村憲剛にボールをぶつけられた小笠原が怒って詰め寄ろうとして、両チームの選手たちが仲裁に入った。
だが、小笠原はいたって冷静だった。ゾクッとしたのは、そのシーンを振り返った小笠原の言葉を聞いた瞬間だ。
「それもパフォーマンスのひとつで、本当に怒っていたわけじゃなかった。そういう細かいところにこだわるのは、なんというか、流れを引き寄せるじゃないけど『戦うんだぞ』っていう大事なことだと思う」
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