前年16位アビスパ福岡をJ1へ。選手も感服する「井原イズム」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 土壇場で追いついた福岡は、あとはセレッソの攻撃をはね返せばよかった。ロスタイム4分を含めた残り時間をしのぎ切り、福岡は1-1で試合を終えた。結果は引き分け。だが、両チームの明暗はくっきりと分かれた。

 もちろん、引き分けでも昇格できるという有利な状況は、福岡が自らの手で作り出したものである。長いシーズンを戦い、3位というポジションに就いていたからこそ得られたアドバンテージだ。

 と同時に、3位というポジションにたどり着く過程において、選手たちは大きな武器も手にしていた。井原監督は語る。

「我慢する試合展開でも受け入れ、全員の力でうまく試合をコントロールし、少ないチャンスでゴールを挙げるたくましさ、勝負強さが身についた。これまで勝ってきた自信や、苦しい流れでも試合をモノにしてきたことが勝負強さにつながっている」

 全42試合のリーグ戦を戦い抜き、その中で挙げてきた1勝、1ゴールが、選手の自信となって蓄えられていった。殊勲の同点ゴールを決めた中村北が「(先制されても)残り時間があったので、取り返せると思っていた」と言えば、冷静にセレッソの攻撃をはね返し続けた濱田は、「いつもどおり、自分たちの力を発揮すれば、勝てる自信はあった」と胸を張った。

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