「今の代表にはいないタイプ」柏木陽介がハリルJを変える (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 加えて、コンディションも万全とは言い難い。東アジアカップを辞退する原因となった左足には依然として不安が残っている。東アジアカップ開催中はJ1が中断していたこともあり、「しばらく練習を休んだ」と柏木。リーグ戦再開後も先発出場してはいたが、試合後には「足がしびれてきて、もう限界だった」と明かすこともあった。

 今回の代表メンバー発表直後の試合となった10月3日のJ1第13節サガン鳥栖戦(1-1)でも、できるだけ左足への負担を減らそうと、CKはほとんど蹴らず、キッカーを梅崎司に任せた。試合中、力強いパスやミドルシュートが少なく、柔らかなキックが多かったことも、足の状態が完全でないことをうかがわせる。

 それでも柏木は覚悟を決めて、3年半ぶりの日本代表に臨む。

「これを逃したら、もう(代表に呼ばれる)チャンスはないかもしれないから」

 先に公式戦(W杯予選)があり、その後に親善試合という試合順は、“新顔”である柏木が出場機会を得るには好都合だろう。先に親善試合であれば直後に控えた公式戦のための主力組の準備に使われかねないが、これならば主力組を中心に公式戦に臨み、その後の親善試合では新戦力を試すという流れが作られやすい。また、柏木の足の状態を考えても、時間的猶予が生まれることはプラス材料となるはずだ。

 今回の中東シリーズで柏木にどれほどの出場機会が与えられるのかはわからない。だが、日本代表にかける強い思いとは裏腹に、柏木は“ラストチャンス”を前にしても、意外なほど肩の力が抜けているのも確かだ。

「もう緊張する歳でもないしね」

 27歳のレフティは心を落ち着けて、来るべきチャンスを待っている。

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