なぜハリルホジッチ監督は槙野智章を重用するのか? (4ページ目)
もうひとつ、槙野の国際舞台の経験が乏しいことも気がかりな点だ。28歳の槙野は、2018年のW杯ロシア大会を31歳で迎える。これまでW杯に出場した代表選手で、初出場が30代の選手は、GK以外のポジションでは遠藤保仁などごく少数だ。そして、初出場したときのW杯の感想を選手に聞くと、「緊張した」「最初の45分はいつも通りできなかった」と誰もが口をそろえる。そうした独特の空気がある大舞台で、槙野が本領を発揮する難しさもあるだろう。
たとえば、20代でブラジルW杯を経験している吉田や森重であれば、その経験を、円熟味が増す30代で迎えるロシアW杯につなげることができる。また、CBには現在22歳前後の植田直通、昌子源や岩波拓也といった将来を嘱望されている若手もいる。大舞台の経験値という点も含めて次のW杯を見据えると、CBの競争は激しくなってきているといえる。
しかし、私はCBとしての経験を積んでいければ、槙野は日本代表にとって大きな力になると期待している。スピードでチームに躍動感を与え、スピードがあることでDFラインを高く保持できる。さらに、セットプレーでも攻守に強い。
ハリルホジッチ監督のサッカーを具現化するキーマンになる可能性を大いに秘める槙野が、今後どのように成長を遂げるのか注目していきたい。
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