なぜハリルホジッチ監督は槙野智章を重用するのか?

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Yamazoe Toshio

 日本代表のヴァヒド・ハリルホジッチ監督は、「ボールの奪い合いでの球際の強さ」と「少ないタッチで素早く縦を突く攻撃」を重視し、就任してから短期間でチームを大きく変化させてきた。

"ハリル流"は、センターバック(CB)の選手起用にも見てとれる。日本代表のCBは、W杯ブラジル大会に出場した吉田麻也と森重真人が、ザッケローニ、アギーレ両監督のもとで守備陣の中心にいた。しかし、イラクとの親善試合(6月11日/4-0)、シンガポールとのW杯予選(6月16日/0-0)で、CBで起用されたのは吉田と槙野智章だった。

ハリルホジッチ監督が2試合連続で先発起用した槙野智章ハリルホジッチ監督が2試合連続で先発起用した槙野智章 槙野は過去、日本代表に招集された時に、サイドバックとして起用されたことはあったが、ハリルホジッチ体制では初めてCBとして起用された。これは槙野が備える "これまでの日本人CBが持っていなかった特長"が、ハリルホジッチ監督の目指すサッカーにマッチするためだ。

 現代サッカーにおいてCBに求められる能力のひとつは「スピード」だ。だが、歴代の日本代表を振り返ると、スピードに特長のあるCBはほとんどいなかった。そのため、緻密なポジショニングやライン・コントロールなどの連係によって、相手FWと駆け引きできるDFを守備の中心に据えてきた。

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