福田正博が考察。香川真司の不調の原因と、復活への手がかり (4ページ目)
香川がドルトムントに移籍した2010年は、すべてが新鮮で、ドリブルやパスなど、あらゆるプレーに喜びを感じていたはずだ。それが、活躍を続けるにつれて、喜べるプレーがゴールにつながるものだけになったのではないだろうか。そして、今はその頃の残像を追い求めながらプレーしているように見受けられる。好調だった頃のようなプレーができれば喜び、できなければうなだれる。
もちろんゴールにこだわるのは大切だが、プロリーグは世界のどこの国でも、平均してシュートは10本打って1本決まるかどうかというデータもある。シュートを外しても落ち込む必要はない。今の香川にとって重要なのは、勝負に対してプレッシャーを抱え込まず、試合の中で自身がプレーできる喜びを増やすことだろう。
香川が2015-2016シーズンもドルトムントに残るのか、それとも新天地を求めるのかはわからないが、シーズン終盤で見せてくれた輝きを、新シーズンでも継続して、完全復活してくれることを楽しみにしたい。
そして、6月16日のシンガポール戦から始まるW杯ロシア大会のアジア予選の長い戦いのなかで、これまで以上に精神的なたくましさを備えた香川が、日本代表を2018年のW杯へと導いてくれると信じている。
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