福田正博「なぜ日本人FWはシュート意識が低いのか」 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Hara Etsuo

 サッカーではゴールの約90%は、ペナルティエリア内で生まれる。時間とスペースがないペナルティボックス内でシュートを打つためには、瞬時に判断して的確な技術でゴールネットを揺らさなければならない。

 そうした最も難しい仕事場で必要になるのは、パスをつなぐことでも、相手をかわすことでもない。シュートコースがない中でボールを動かしてわずかな「隙間」を作り出し、そこを的確に射抜くテクニックだ。

 サッカーはゴール前で結果を出せる選手の有無こそが、勝敗に直結すると言っても過言ではない。だからこそ、ゴールを量産するメッシやクリスティアーノ・ロナウドが世界中から賞賛されているのだ。

「シュートへの意識を高める」と言葉にするのは簡単だが、日本全体のムードとして、ゴールを決める選手に対して今よりも評価を高めなければ、ゴールへの貪欲な意識と高いシュート技術を併せ持つ「真のストライカー」は育たない。

 たとえば本田圭佑は、欧州リーグでプレーすることで、ゴールへの意識を高めるように自己改革をしてきた選手だ。とはいえ、彼のような日本人選手だけでは決定力不足が解消できていないのであれば、W杯に出場する多くの国がしているように、帰化選手を加えるのもひとつの手だ。

欧州リーグで経験を積み、ゴールへの意識を高めてきた本田圭佑(中央)欧州リーグで経験を積み、ゴールへの意識を高めてきた本田圭佑(中央) ドイツ代表をはじめとする欧州の強豪国も帰化選手を加えて強化を図っている。日本代表でいえば、ブラジルから帰化した田中マルクス闘莉王がチームに加わったW杯南アフリカ大会は、彼がDFだったとはいえ、チームの攻撃の意識に影響を及ぼしたと私は思っている。

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